split image of tamara walcott squatting and powerlifting

アメリカのパワーリフティング選手、タマラ・ワルコットさんが、ギネス世界記録「大会におけるベンチ/スクワット&プレスの最大合計重量(女性)|heaviest cumulative lift for bench/squat and press in competition (female)」を達成しました。

この記録では、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトを行い、それぞれ挙げた重量の合計を競います。そしてワルコット選手は737.5 kgを記録することに成功したのです。

2022年7月に行われた大会で、この偉業を成し遂げたワルコット選手。しかしこの世界に入る4年前、彼女は食物依存症と肥満に悩んでいました。

以前のワルコット選手の体重は188.82 kg。人生を大きく変えなければならないと、自身も気づいていたと言います。

自分の子どもたちの目を見ると、彼らのために、そばにい続けられるようにしなければと思っていました。だから自分のケアを始めなければならなかったの。

2児のシングルマザーのワルコット選手は、チームスポーツの野球やバスケットボールでは日々のスケジュールと調整がつかないと考え、2018年になると、ひとりでトレーニングができるスポーツを探すことを決心しました。

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「(そこで)ジムに行ったんです。当時はパワーリフティングのことすら知りませんでした」とワルコット選手は振り返ります。

重そうなウエイトを動かしたり、雄たけびをあげたり、すごいことをしている人たちを見て「そうね、やってみるわ」と思ったんです。

102 kgのウエイトで人生初の(本人は「あまり良いスクワットではなかった」と回想する)クォータースクワットをした瞬間、ワルコット選手は自分のパッションを見つけたと感じました。

そこからトレーニングを積み重ね、スクワットのウェイトを183.7 kgまで増やすことに成功しました。「そこまでいくのに2年半かかったわ」

180キロを背負うのは決して簡単なことではありません。あらゆる危険が潜んでいますからね。

2022年7月の記録挑戦で、ワルコット選手はバーベルに272.5 kgをセット。自身の大会ベストとなりました。

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トップクラスのパワーリフティング選手になるには、ワルコット選手が乗り越えなければいけないものがありました。それは「ベンチ」です。

「ベンチを始めたころ、みんな「女性はベンチをするべきではない。ベンチはしない方がいい」と言われたので、重いウエイトをベンチで挙げるのが怖かったです」と語るワルコット選手。「その恐怖が抜けるまで2年かかったわ」

それでも彼女が行った172.5 kgのベンチプレスはWRPF Pro大会で最大のスコアとなりました。

そして最後はデッドリフト。これはワルコット選手が一番好きな種目で、290 kgを記録。自身の大会自己ベストを1.5 kg上回ることに成功しました。

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ワルコット選手は、ジムでトレーニングをしている際、周りにいる人のほとんどは男性だと言いますが、パワーリフティングを通じて、女性がなしえることの期待値を上げることができました。

トレーニングをしているとき、ワルコット選手は強くて粘り強くやる気に満ち溢れたおばあちゃんのことをよく思い浮かべるそう。

「私のおばあちゃんは家族だけでなく、地域全体の面倒を見ていました。私の今の姿は、彼女の生きざまをまさに表現しています」とワルコット選手は語ります。

私がウエイトを持って挙げるとき、どんなにつらくても方法を見つけることができることを証明してみせています。私のおばあちゃんもやっていたことなんです。

ワルコット選手のパワーリフティングでのキャリアは始まったばかり。しかし彼女は"挙げるバーをさらにあげて"、不可能を可能にすることができることを世界に見せつけていきたいと言います。

パワーリフティングを通じて自信をつけたいと考えている人たちに対し、ワルコット選手は後押しをします。

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私たちはなりたいものになれるのです。あなたには私とかパワーリフティングのコミュニティーが腕を広げて待っているのですから。

お互いを励ましあってお互いを強くしていくんだから、その状態で世界に出るときのあなたは仕上がっている。誰もあなたを崩すことはできないの。

だから来て。成し遂げましょう。