地球の水

地球は水によって生かされている。この青い惑星の背後にある記録について考えてみたことはあるだろうか?

ここでは、水の世界に飛び込み、また、海に生息する生物の記録の一部に焦点を当てていく。

色の世界

青とは、私たちの命の証である色だ。

壮大な海、流れる川、空から降る雨や雪 。全ての水は私たちが毎日経験(そして時折乱用)する宝である。

水は、私たちの生活、血液、そして呼吸する空気の中に、さまざまな形で存在する。私たち自身の体も水で主に構成されており(体の60%、血液の90%を占める)、H2Oという、小さくも生命を司る化学式を中心に回っている。

驚く人もいるかもしれないが、ほとんどの淡水は地球の地下深くに眠っているか、液体とは違う形で存在している。地球上で利用可能な淡水の2/3以上が氷床と氷河に閉じ込められている。その中でも最大のものは南極氷床で、面積はその浮遊部分(通称アイスシェル)も含むと、13,924,000平方キロメートル(5,376,100平方マイル)に及ぶ。アメリカ国土全体のほぼ1.5倍のサイズだ。

息を呑むようなこの凍ったこの土地は、決して全ての生命にとって不毛というわけではない。豊かな生物多様性の居場所であるだけではなく、地球全体の気温を調整してくれている。

巨大に広がる氷は、太陽の光線を反射することで、鏡としての機能を発揮する。太陽の熱エネルギーを吸収し、光を宇宙に戻すことで、何千年もの間、地球の気候を安定させてきた。

「氷で覆われる面積が多ければ多いほど、宇宙に反射される熱は多くなる」、とNASAは述べる

実際に、海洋は、この惑星上で居住可能なほとんどのスペースを占めている。

その圧巻の広大さを誇る世界最大の海洋は、太平洋だ。表面積はアメリカ国土の16倍以上の面積に及び、世界の海洋のほぼ半分を占めている。

地球上で最も小さな海洋である北極と比較すると、その巨大さには畏怖の念を抱かずにはいられない。最近の数十年間でこそ変化しているものの、北極は、1年のほとんどが氷に覆われている。それにも関わらず、多くの海洋生物が生息しており、この氷の王国は繊細な環境のバランスの中で存在し、その大きさは、“たったの” 15.79 haだ。

平均水深が1,205 mの北極は、最も浅い海洋でもある。

また、もう一つの特筆すべき水域は、地球上で最大の海の一つ、南シナ海だ。しばしば政治的摩擦の原因となるこの海域の総面積は3,500,000 ㎢に及び、中国からフィリピン、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、シンガポール、ベトナムまで、様々な国々を包括している。

Glacier in Anctartica

蒸気、氷、液体。形がなんであれ、私たちの存在は水に依存している。

だが、それでも私たちの生活は、この惑星と将来の文明を危険にさらしつつある。川や海に投棄された大量のプラスチック廃棄物から、科学者の警鐘にも関わらず日々溶け続ける氷河への対策を取らないことまで、人類の責任は多岐にわたる。

この膨大な財産を守るために私たちができることは何だろうか?

それは、清掃に参加したり、リサイクルなどを日常的に意識したりと、マイクロプラスチックに対する闘いが基本となる。

海に生きる植物や動物を尊重し、使い捨ての容器を避けたり、ゴミや使用する資源に気を付けたりすることで、環境への影響を日常レベルで減少させることができる。私たちの存在を支える環境と、生物多様性とを保護することは、私たち自身の健康を守ることと同義なのだ。

この青い惑星の美しさと知られざる秘密について、多くの情報を載せている『ギネス世界記録 2024』は、あらゆる水への私たちからのラブレターだ。

water on earth

規模の世界

今年の『ギネス世界記録2024』では、海洋に生息する最大級の動物にも焦点を当てている。

世界で最も大きな魚は何だろう。

現在、海に生息する最大の魚は、ジンベエザメ(Rhincodon typus)だ。

威圧的な名前にもかかわらず、実はこの海の巨人は、他の巨大な海洋生物と同じく恥ずかしがり屋。ジンベエザメの総個体数のうち、成熟期まで生き残るのはわずか10%だが、その難関さえクリアすれば、後は150歳まで生きることができる個体も少なく無い。

ジンベエザメは通常、大西洋、太平洋、インド洋の温暖な地域で見られる。

「穏やかな巨人」とも呼ばれる、シャイだがこの巨大な生き物は、濾過摂食をするため、噛むことはできない。

小さな歯が特徴的な彼ら。吸引フィルターとしての役割を持つ『鰓し』を使い、1時間に6,000 L以上の水の中から、小さなエビ、魚、プランクトンなどをかき集めて食事にする。

長距離を移動することでも知られる彼らのサイズは、個体の住む地域、年齢、性別に応じて大幅に変動する。

これまでに測定されたもの個体の長さの平均は、4~12 m。

公式に記録された最大の個体は、2001年5月8日にインドのグジャラート州ヴェラヴァル沖で捕獲されたメスのジンベエザメで、その長さは18.8 mだった。

魚の中で最大のサイズを誇るジンベエザメ。では、海を漂う最大の動物の称号は誰が手にしているのだろうか。

正解は、シロナガスクジラ(Balaenoptera musculus)。

シロナガスクジラの大きさの平均は約20〜30 mで、体重は約160 t。これまでで確認された最大の個体の長さは33.57 mにまで達した。

さまざまな物語、伝説、冒険小説(ハーマン・メルヴィルの古典的な作品「モビー・ディック」など)をインスパイアしてきた、この威厳ある動物。長い間、人類の幻想をかき立ててきた彼らの中でも、長さと重さの両方で記録が認定された、さらに大きな個体がいる。

 Blue whale swimming

最も重いシロナガスクジラは、体重190 tで、長さは27.6 mの雌の個体。これは、陸地、海内に関わらず、これまでに計測された中で最も重い動物の記録を誇る。 (前述の33.57 mのシロナガスクジラの体重は残念ながら計測されていない。おそらくこれよりもはるかに重かっただろうと推測される。)

逆に、最も小さい海洋哺乳動物の記録は、カワウソが持っている。

この非常に珍しい、南アメリカの海洋カワウソ(Lontra felina、カワウソキャットと翻訳されます)は、南アメリカの南西地域の、岩の多い、ケルプ(海藻の一種)が豊かな海岸線で日光浴をするのを好む、小さな捕食動物だ。

海洋カワウソは、ペルー北部、チリ、およびアルゼンチンの極南部の静かな海岸地帯で見られる。

彼らは積極的に人間を避けることで知られており、体長は87~115 cmで、体重は5 kgを超えないことがほとんどだ。

 Diver in ocean

毛むくじゃらの甲殻類

カニや甲殻類と言われて、まずどんな姿を思い浮かべるだろうか。

甲殻類は、非常に多様なサイズ、形状、色合いを持ち、それぞれが異なった環境で生きるために適応している。中には非常に重いものや、毛のような繊維で覆われているものもいる。

例えば、Stygotantulus stockiという海の微小な住人がいる。これの甲殻類は、タントゥロカリド(tantulocarid)の一部で、ほとんど目に見えず、甲殻類(および節足動物全般)の中で最も小さな種として認識されている。

わずか0.094 mmしか長さがなく、裁縫用の針先よりも小さい。

一方、アメリカンロブスター(またはノースアトランティックロブスター、Homarus americanus)は、最も重い海洋甲殻類として記録されている。非対称な鋏とオレンジと赤の色合いがとても特徴的だ。

1977年2月11日に、カナダのノバスコシアで、20.14 kgの巨大なロブスターが捕獲された。尾ビレから最大の鋏の先端までの長さは1.06 mだった。

残念ながら、後にこれはニューヨークのレストランのオーナーに売却された。

だが、サイズが全てではない。キワヒルスタタ(Yeti lobster、Kiwa hirsuta)は、最も「もじゃもじゃ」な甲殻類として名を馳せている。

このユニークな生物は、通常の甲殻類のイメージとは大きく異なり、南太平洋の海底にある熱水噴出孔という特定の環境に生息している。独特の形状と幽霊のような白い色を持つこの生き物。長い鋏と足は、「セタ」と呼ばれる、絹のような金色の繊維で覆われていて、まるで毛皮を着ているようにも見える。

大きさは平均して15 cm。目が見えないとされているこの小さな甲殻類は、2005年に発見された。

名前の「キワ」は、ポリネシア神話の貝類の女神にインスパイアされ付けられたものだ。