世界で最も高い木造の塔閣

中国、山西省、應縣にある佛宮寺。その閑静な境内に佇む、釈迦塔(Sakyamuni Pagoda)は、中国で最も有名な建築物の一つとして、誇り高くそびえ立つ。

この貫禄ある建造物は、遼の道宗皇帝の統治時代の2年目である1056年に建てられた。彼の祖母の家の跡地に建てられたと言われており、驚くべきことに、金属の釘を一本も使わずに建設された。それにもかかわらず、何世紀にもわたる過酷な気象や地震に耐えてきたこの塔。世界古代史上最高層の木造建築の記録を誇るこの建物は、建築史の宝石でもある。

この壮大な木造構造物は、もともと高さ4 mの石の基盤の上に建てられた。尖塔は、なんと10メートル。

八角形の基盤を持つこの建築物の全体の高さは、67.31 mにも達す。地球上で最も複雑な古代人工構造の一つとして数えられ、世界で最も高い木造の塔閣の冠を誇る。

最も高い他の建造物に比べると、その高さは確かに劣るかもしれない。例えば、世界で最も高い建物は、ハリファ・タワーとしても知られるブルジュ・ハリファで、高さは828 m。中にはスーパーマーケット、書店、高級レジデンスなどの多くの設備を備えている。それでも、釈迦塔は古代の建築の中でも最も興味深い建造物の一つとして一際目立つ存在だ。

Tallest wooden pagoda for explainer

その精巧さ、傾斜した屋根と尖塔の後ろに広がる歴史、貴重な絵画、そして複雑な建築工学を誇る釈迦塔は、建築界の宝として、いくつもの時代を見守ってきた。建設から最初の50年間で7回の地震を生き抜いたことも考えると、なおさらだ。

この古代中国の宝石は、壮大な八角形の形(五代十国時代に取り入れられた多くの新しいスタイルの一つ)が特徴的で、最初の階だけでも、なんと30.27 mもの高さがある。

また、それぞれ10 mの高さを持つ7つの尖塔も異彩を放つ。

佛宫寺の敷地の中央に配置され、中国北部の広大な田園地帯をそびえ立つ、釈迦塔の建築価値は計り知れない。

嵐や地震に対処できるよう、美しく飾られた木塔の天井の下で各階の柱は少しずつ内向きに傾斜し、階を上がるごとに床面積は小さくなる。

また、1階の窓のない外壁、そしてそれを囲む廊下と軒は、建物全体の安定感をさらに強化している。

数々の地震にも関わらず、釈迦塔が何世紀にもわたって高くそびえ立ってこれたのは、この精巧に計算された建築工学の賜物だ。

塔の公式ウェブサイトによれば、「歴史的な記録によれば、元代(約1333-1368年)の順帝の治世中に7日間続いた大地震の間も、この塔はしっかりと立ち続けた。」とある。

「ここ数年間でも、応県地域は河北省の邢台市、および唐山市、および内モンゴルのホリンゴルでの大地震の影響を受けましたが、木製の塔には損傷がありませんでした。」との報告があるから驚きだ。

釈迦塔の3Dモデルは、そのバランスと頑丈さの理屈を解明するのに役立つ。

塔の耐震強度は、古代中国の木造構造と建築工学の水準の高さを現代に証明する。

数十年にわたって気候の影響を受けていないとされている塔だが、よく検証すると、ほんのわずかだが、傾いているようにも見える。それでも、釈迦塔の傾斜はイタリアのピサの斜塔も比べると、ごくわずかなものだ。

入り口には、ライオンの彫刻と壁画の数々が飾られている。

古代遼朝のスタイルを惜しみなく披露しており、装飾には戦士の従者、天を司る王、女性の従者、仏教の弟子などがよく見られる。

釈迦塔の南側の扉に入ると、蓮の花の王座に座る、高さ10メートルの釈迦牟尼の像が来場者を迎える。

最近、世界で最も高い塔閣としてギネス世界記録に登録された非常に新しい塔閣がある。中国の常州市に誇り高くそびえ立つ、この現代的な「天寧寺塔」の建築作業は2002年に始まり、2007年に完成。この13階建ての塔閣全体の高さは、153.79 mに達し、記録が認定された。

A map of the octagon that shapes the pagoda's floor.

The timber dougong structure absorbs forces acting on the building.

A detail of the padoga's colums: the Dougong, a bow-shaped interlocking brackets.