ジュラシック・パークでおなじみの、スピノサウルスに会おう

 

スピノサウルスは、約9900万から約9350万年前に、現在の北アフリカの地域を支配していた。

恐竜はもう(我々に取っては幸運なことに)、地球を闊歩してはいない。この美しい狩人は、2021年の大ヒット映画「ジュラシック・パークIII」のため、等身大の人形ロボットとして細部まで再現され、カルト的人気を誇る1993年の「ジュラシック・パーク」シリーズの新たな登場人物に加わった。史上最大の映画用人形の記録も塗り替えた、この大迫力の恐竜の魅力に迫る。

Spinosaurus being painted
Spinosaurus open jaw

2023年は、スティーブン・スピルバーグの「ジュラシック・パーク」が最初に世に出て、30周年を迎える年だ。世界記録打破は、この記念すべき瞬間を祝うのに、もってこいのイベントだった。


約13.7メートル(45フィート)の長さを持つこの堂々たる生物は、歴史上存在した中で「最大の肉食恐竜|largest carnivorous dinosaur」だ。体重は大きい個体で6トンに達し、最長および最大の獣脚恐竜の称号を誇る生物として広く知られている。

したがって、スタン・ウィンストン・スタジオ向けに再現されたこの映画用ロボットが、実物と同じように史上最大サイズとなったのは、自然な流れなのかもしれない。

最初のステップは、スピノサウルスの、非常に詳細な縮小モデルを作成することだった。これを、のちに製作する、はるかに大きく、はるかに複雑な機械モデルの基盤としていく。

それを元に、特殊効果チームは、クロコダイルのような目を持ち、スタジオを地鳴らす、スピノサウルスの巨大なレプリカロボットを作った。

1993年の初の映画では、すべての恐竜が機械化されていたわけではなかった。俳優が恐竜スーツを着用し、着ぐるみのように動いて撮影する手法も使った。たとえば、ラプトルがそのケースだった。

川の支配者・スピノサウルスは、どんな生物だったのだろうか?

現在ではアフリカとして認識される地域から発生したスピノサウルス。その最初の痕跡は、1912年にエジプトで発見され、1915年、ドイツの古生物学者エルンスト・ストローマーによって報告がまとめられた。

だが、21世紀になるまで、この巨大な古代生物についての詳細は謎に包まれていた。

新しい化石が発見されるにつれ、世界中の古生物学者は研究を進めた。そして今日、人類は本物にそっくりなレプリカロボットを再現できるまでたどり着いた。

このトカゲのような恐竜は、ジュラシック・パークの代名詞でもある、ティラノサウルス・レックスと同様、獣脚恐竜(Theropod)の一員だ。獣脚恐竜は、二足歩行の姿勢、鋭い歯、そしてワニに似た長い頭蓋骨を特徴として持つ。

ジュラシック・パークのスタッフが、クロコダイルをモデルにスピノサウルスの目を設計したことはよく知られている。

スピノサウルスが他の多肉食動物たちから一画を期している理由の一つが、半水生の生活様式に適したその驚異的な生体能力だ。現代の専門家たちは、スピノサウルスが川や湖に沿って生息していたと認識している。

スピノサウルスの長い顎と円錐形の歯は、魚や他の水生の獲物を捕まえるのにもってこいだ。長い吻と細い顎は、現代の爬虫類にも類似している。

その中でも、最も特筆すべき特徴は、背中にあるハンプだ。

スピノサウルスの背中の、この印象的な尾びれについては、さまざまな研究が行われている。

バショウカジキの背びれのように、水中での狩りを助けるのに役立ったとの見解がある一方で、ハンプは泳ぐためではなく、威嚇や種の識別に使用された可能性が高いと考える科学者もいる。

ジュラシック・パークのスピノサウルスの帆のような尾びれは、ゴムとスポンジで作られた。

この水中をも支配する捕食者は、科学者たちの間で多くの議論を巻き起こし、今もなお様々な研究の対象となっている。

巨大生物が地球を支配していた9900万年後、映画「ジュラシック・パーク」は今も記録を塗り替え続けている。

この画期的な大ヒット映画は、今日まで最も高収益の恐竜フランチャイズとして、その地位を保っている。

また、「ジュラシック・パーク」と同じユニバースで設定された2015年の続編、「ジュラシック・ワールド」は、史上最も高収益の恐竜映画として記録された。

1993年の最初の映画では、映画の尺127分に対し、恐竜が登場する時間はわずか15分であることを知っていただろうか。

ほとんど登場しないにも関わらず、恐竜たちは、強烈な印象を持って我々の脳裏にその存在を焼き付けるのだ。