ストリングアートは、針と糸を使ってポートレートや風景画などを作る、現代アートの1つ。たとえ油絵などのスキルがなかったとしても、数学の力で作品を完成させることができます。
そんなストリングアートで、ギネス世界記録が更新されました。
大きさ6.3 m² の「針と糸でできた最大のアート作品|largest pin and thread art」は、イラク出身のアーティスト、サイード・ハウィディ・バシューンさんが手がけたもの。作品には500本の針と6,637 m の糸が使われています。
作品が描いているのはエジプトのロジーナ・サラーさん。若い頃から白斑を患っています。
現在はスキン・ポジティブなコンテンツを制作しているロギーナさんは、15年ものメイクアップ・アーティスト経験を持っています。
「メイクと自己肯定は典型的な組合わせではありません。私はいつもメイクの下に隠れていました」と語るロジーナさん。今回のストリングアートをきっかけに、より多くの女性がそれぞれの個性を受け入れられるよう、活動をしていきたいと考えています。
私は(個性を)受け入れるのに15年も戦い続けました。ギネス世界記録に認定された作品の題材になったことで、白斑を持っている人たちに力や希望を与える責任を感じるようになりました。
アーティストのサイードさんが初めてストリングアートに出会ったのはレバノンに行ったときのこと。初めて見たときは、機械で作ったものだと考えていたそうで、どうやって"設計された"のかを考えたそうです。
何度も試行錯誤をしてようやく仕組みが分かるようになると、より複雑なポートレイトを手がけるようになります。
今回の作品は制作に16時間かかったそうで、複雑な作品の場合は40時間かかる場合もあるとか。
サイードさんはストリングアートの技術についての本や映像コースを作っている最中だとか。
作品を完成させるのに必要なのは忍耐と体力だとサイードさんは言います。「スタミナも体力も必要です。作品の一部を完成させるためにスクワットのような動きを何百回も行うこともあるのです」
糸を使った作品で奥行きなどを出すのには、背景でどれだけ光が反射するかが重要だと言います。例えば反射を減らして暗く見せるには、糸の層を増やすのです。
「数学の面白さを探していたなら朗報です。このアートにありますよ!」と、サイードさんは語りました。
今後はストリングアートにさらに磨きをかけていき、今度は糸の代わりにワイヤーを使った作品を手がけたいと言うサイードさん。現在は橋を表現した作品に取り掛かっているそうで、完成したら都市公園に飾られる予定です。