最も高価なフェイシャル箱ティッシュ『十二単』

2018年8月8日、大昭和紙工産業は色鮮やかな超高級カラーティッシュ「十二単ティッシュ」で、ギネス世界記録タイトル『最も高価なフェイシャル箱ティッシュ』に認定されました。

その価格は1万円ーーなぜこのような高価なティッシュを作ることになったのか、そして製造過程における難しさなどについて、大昭和紙工産業マーケティング室所属の2人、室長代理・富樫圭司氏とデザイナー・田中裕氏に話を伺いました。

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ーーこの度はギネス世界記録認定、おめでとうございます。認定を受けた時の気持ちを聞かせてください。

富樫氏:率直に……すごい嬉しいです。やっぱり、2017年の12月から挑戦の準備を進めてきたので、今日という日を無事に迎えることができました。

田中氏:長い道のりだったので、私はホッとしてます。ギネス世界記録に挑戦する方は、始めての方が多いと思うのですが、勝手が分からない。その状態で動くので、想像しなかったものが必要だったり、式典についても企画から執行までできるだけ社内でできることはやろうというコンセプトで動いていたので、準備しなければいけないものというのも手探りなところが多かったので、大変だったなという印象が強いです。嬉しさ半分、ホッとした気持ちが半分、といったところでしょうか。

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ーー今回はティッシュで認定がなされましたが、大昭和紙工産業の主力商品はどのようなものなのでしょうか?

富樫氏:家庭ティッシュの事業がメインではなく、紙袋や箱などのパッケージが主な事業です。また、紙の加工。例えば絆創膏をはがした時の白い紙とか、肉まんの裏についている紙など、素材として提供する紙を作っています。さらに、紙の代理店。製紙会社から直接交渉して、エンドユーザーに販売していたりします。絵本は仕掛けのあるような、特殊な絵本も得意としているものです。

田中氏:世界的にどうかは分からないのですが、製造メーカーとして、例えば袋屋さんだったり箱屋さんだったり、紙に機能を持たせる加工であったりとか、それぞれの技術を持ったメーカーさんがいらっしゃるのですが、私たちはただ作るだけでなく、デザインから企画、品質管理まで全部社内でまかなえるようになっています。それが強みだと思っています。

カラーティッシュができるまで

ーーティッシュはいつ頃から扱っていますか?

富樫氏:30年くらいたつかと思います。白いティッシュももちろん作っているのですが、それだけでは大手にはかなわないので、変り種を作ろうということで色をつけるようになりました。

当時、「ティッシュって白いよね。白の反対は何だ?黒。じゃあ黒いティッシュを作ろう。」それでカラーティッシュの製造が始まりました。それをやっていくうちに、たくさんの色ができるようになりました。

ーー『十二単』の発案エピソードを聞かせてください。

富樫氏:『十二単』の前に七色の『七宝』というのを出していて、その後『漆』、いわゆる日本の伝統工芸品をイメージというところをベースに発案してきました。『七宝』は七色、『漆』はティッシュの裏面と表面の色が変わっているものだったので、工芸品をイメージできるようなものを作ってきました。

ティッシュでさまざまなことができるようになり、最高峰を目指していこうという中で、社長が皇族の方が『十二単』を着ているのを見かけて、この『十二単』というティッシュの開発が始まりました。




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ーー日本の伝統を表すものが多いですね。

富樫氏:Made in Japanというものが知られているので、日本らしさを前面に打ち出して生きたいという想いがありました。伝統工芸に絡めたほうがより日本らしさが醸し出せるし、世界中の方々にも受け入れられるのではないかと思いました。

田中氏:「桐たんすから着物を取り出すイメージで使ってほしい」というのがコンセプトとしてあるので、着物を包む白い紙から高価な着物を取り出すようなイメージに模したいというのがありました。また、たんすの中ににおい袋を忍ばせておいて、たんすを開けるとほのかな香りがするということがありますが、同様に『十二単』でも香りがたつようにパッケージの中ににおい袋を入れました。ただ見るだけではなく、使った時に感じる優美さも味わっていただけたらなと思って作っているので、見た目だけでない部分でこだわっている部分が多いです。

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ーー12色のティッシュを製造することは、どれだけ難しいことなのでしょうか?

田中氏:例えば赤いティッシュの製造ラインで、次に白いティッシュを作る場合、染色に使用した赤い色素が白に混入したり、ティッシュ原紙を適正なサイズに断裁したり、箱詰めする工程で、赤い紙粉が混入し、異物と感じた消費者の方からクレームが発生する恐れがあります。そのためどこの製造メーカーでもカラーティッシュをあまりやりたがらないんです。でも私たちの工場では、一色のティッシュを作ったら、各工程で使用した機械を丸ごと洗浄するという手間をかけ、抄紙という、和紙をすくような作業を行っているんです。

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ーー『十二単』を購入した方々から、どんな声があがっていますか?

富樫氏:「中東のほうに出張に行くので買います」というお客様がいまして、「むこうの皆さんにも大変好評で、ほしいほしいと言っていた」とフィードバックをいただきました。静岡空港で販売していた時もあって、めずらしいこともあって、購入なされた方が多かったようです。

田中氏:ギネス世界記録に認定されたを認められたということもあり、中東や中国、富裕層の方々に知っていただく機会が増えると嬉しいですね。海外では質の良いティッシュをあまり使っていないそうです。日本製のティッシュのクオリティ、引き抜く時のわくわくを体験していただく良い機会になるのではないかなと思っています。

ーー富樫さん、田中さん、ありがとうございました。