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突然ですが、ホスピタル・クラウンという言葉を聞いた事はありますか?

ホスピタル・クラウンとは、クラウン(道化師)が病院を訪問し闘病している子どもたちに笑顔を届ける活動の事。日本では「日本ホスピタル・クラウン協会」という団体が、欧米では文化として根付きつつあるホスピタル・クラウンの活動を、日本で広めています。

そんな「NPO法人 日本ホスピタル・クラウン協会」は2019年9月、あるギネス世界記録に挑戦し見事認定されました。では、なぜ彼らは世界記録に挑戦したのでしょうか。『ギネス世界記録の日』を記念して、ギネスワールドレコーズジャパンのオフィスに日本ホスピタル・クラウン協会の岩間様をお招きして、記録挑戦に至った経緯や達成後の反響などについて伺いました。

ーー日本ホスピタル・クラウン協会はどれくらいの期間、活動されているのでしょうか?

設立して15年になります。現在では、北海道から沖縄まで94病院を約140名の認定クラウンが定期訪問しています。ホスピタル・クラウンは、アメリカの病院にいけば当たり前の活動ですが、日本ではまだまだ、なじみのないもので、日本でもホスピタル・クラウンの活動が文化として根付くように活動しております。

ーー子どもたちはクラウンにどのような反応をしますか?

いつもクラウンの訪問を楽しみに待っていてくれる子どももいて、子どもによって反応はまちまちです。ただ笑わせるというわけではなく、病院の空気を変えたいと思って活動しています。子どもが笑うとご両親も笑顔になってくれます。医療従事者の方が忙しくて、ピリピリした雰囲気になってしまっている場合もカラフルなクラウンが廊下を歩いていると、それだけで空気が和らぐ事もあります。

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ーー今年挑戦したギネス世界記録について教えてください。

今回、私たちは「折り紙で作ったカエルの最多展示数|Largest display of origami frogs」という記録に挑戦し、3,542個の記録で達成できました。

もともとは15周年の記念に何かイベントをやりたいと考えていました。クラウンはサーカスのなかで「脇役」です。大技を行うアーティストやお客様が「主役」であり、目の前の相手を「主役」にする事ができます。通常の活動を行うなかで、より入院中の子どもたちが主役になれるイベントを企画したいとずっと考えていました。そして、闘病中の子どもたちがベッドの上でも主役に、そして世界一になれるこの企画を考えました。「カエル」にした理由は、「無事、家にカエル」「ケロっと病気が治る」という願いが込められています。

折り紙は、入院中の子どもたちと、そのお父さんお母さん、そして病院の保育士さんなどにも折っていただきました。また、クラウンと一緒にプレイルームで折ったりもしました。

ーーギネス世界記録挑戦を協会に提案して実施するまで、どのように進めましたか?

みんなを巻き込むために理事会にかけあい、事務局のメンバー、協会のメンバーに伝えていきました。「ギネス世界記録」という言葉はみんな知っているので、伝えやすかったです。日本ホスピタル・クラウン協会の事務局、理事、そして認定メンバー(クラウン)全員を巻き込んで進めていきました。

その後病院に協力していただきました。病院の子どもたち、スタッフはとてもこの企画を喜んでくださいましたが、病院を管理する総務の方の理解を得るのはとても大変でした。記録用で写真撮影をさせていただく際もたくさんの方の許可を取るのに時間が掛かりました。事務局が中心となって、まずはスポンサー企業様から協賛金を集めました。既存の賛助会員の方が賛同してくれる例が多かったです。

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ーー15年の節目のイベントとして、どのような想いがありましたか?

ホスピタル・クラウンの活動はとても良い活動であるので、必ず全国に広げていきたいと思っています。協会設立から15年が経ち、活動クラウン、訪問病院や子どもたちの数は増えましたが、今の活動規模の倍程度にならないと全国の長期療養中の子どもたちに満遍なく笑いを提供できません。そのためには、協会の活動を病院内外の市民に広く知っていただきたく必要があります。ギネス世界記録への挑戦は私たちの活動をより正確に多くの人々に知っていただく良い手段だと考えました。

ーー記録挑戦で難しかった事はありますか?

ギネス世界記録のルールに則って挑戦するのが難しかったです。3,542個が認定されましたが、実際にはそれ以上のカエルの量を用意して挑んでいました。ただ、許可されていない折り紙で折られていたり、目が書いてあったり、折り目がきちんとあっていないものだったりというルールを満たしていないカエルがたくさんありました。ルールではNGとなってしまうカエルも全て回収し、会場に全て持っていき、プールを作ってそこに展示したり、当日子どもたちに紙に貼ってもらったりして。子どもたちが一生懸命参加した証明ですので、全てのカエルを現地に持っていき、記録認定の瞬間を一緒に迎えました。

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ーー記録達成後、どのような反響がありましたか?

PRの大きなチャンスだったのでプレスリリースをし、挑戦前と挑戦日、そして挑戦後に取材を受けました。また、病院を通じてチラシを配り、その後SNSで発信していきました。テレビと新聞の影響はやはり大きく、協力してくださった病院側が世界記録を取ったカエルを展示したいと連絡があり、協力病院で展示もしました。そこにも、取材が入ったり、活動を知らない人が病院で「カエル」をみて、SNSにアップしてくださり、挑戦を通して活動を伝えるきっかけをたくさん作る事ができました。また、参加した子どもたちのご両親が想像以上に喜んでいらっしゃいました。また、カエルの完成をとても楽しみにしてくれた子がいて、お問合せの電話もたくさんありました。

ーー最後に、ギネス世界記録に挑戦をお考えの企業や団体様にメッセージをお願いします。

ギネス世界記録挑戦を通して、是非自分たちの強みを見つけていただきたいです。この機会にみんなで話し合って、自分たちにしかできない事にチャレンジしていただきたいです。企画が決まってからの準備がとても重要になります。準備の段階で得るものは、とても大きいです。挑戦できる機会や時間は簡単に手に入るものではないと思います。もし、挑戦できる環境をもっているのであれば、是非トライしてみてください。