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マラソンの一山麻緒選手と鈴木健吾選手が、2022年3月6日に行われた東京マラソンで、ギネス世界記録「夫婦によるマラソン完走の最速合計タイム|Fastest marathon run by a married couple - aggregate time」を更新しました。

ふたりの合計タイムは4時間26分30秒(鈴木選手は2時間5分28秒で日本勢最高の4位、一山選手は2時間21分2秒で日本勢最高の6位)と、前記録を1分以上も更新したのです。

ギネス世界記録は、公式認定証をおふたりに直接お渡しするために、合同合宿先の長野県菅平にお伺いしました!

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まず編集部が向かったのは、菅平高原のロードランニングコース。午前中に一山選手がトレーニングをしているということだったので、その様子をとらえることにしました。

邪魔にならないよう、歩道で待っていると……来ました!

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感想はただただ「速い……」のひと言でした!

この後も何度か同じ場所で遭遇しましたが、日本トップレベルのトレーニングを垣間見ることができて感激しました。

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トレーニングなどが終わると、いよいよ認定式を行わせていただくことに。公式認定証を手にした瞬間、鈴木選手が「すげぇ」と言ってくださって、お渡しする私たちも嬉しい気持ちになりました!

そして認定式の後、一山選手と鈴木選手にインタビューをさせていただくことができました。今回の記録更新についてはもちろん、世界にチャレンジしていこうとするふたりが、夫婦としてどのように支え合っているのかなどを聞きました。

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ーーこの度はギネス世界記録更新、おめでとうございます。ゴール後のインタビューで既に記録は達成できたことを知ったと思うのですが、改めて認定証を手にして、どう思いますか?

(鈴木選手)ギネス世界記録はテレビだったりメディアでよく聞く存在だったので、まさか自分たちが認定してもらえるようになるなんて、本当に嬉しいです。
(一山選手)小学校のときに図書室でギネス世界記録の本を見ていたので、実際その対象になったのはびっくりしました。

ーーギネス世界記録を狙って走っていたわけではないと思いますが、走る前からこの記録については知っていましたか?

(鈴木選手)実は試合前からメディアの方々からも今回の記録について質問をいただいていました。私たちにとっては世界選手権の選考会をかねた試合だったので、それに向けてベストパフォーマンスに近い状態で走れたらそういう記録もついてくるのかなと思って臨みました。
(一山選手)ギネス世界記録をあまり意識していませんでしたが、走り終わったら、彼(の結果)がすごく良かったので、そのおかげで記録が更新できたんだなって思いました。

ーーあくまでもそれぞれが目標に向かって走った結果、副産物として出てきた記録とはいえ、ご夫婦でこのような記録を残せるのはとてつもないことだと思います。

(鈴木選手)なかなか同じ試合に出るということも少ないですし、コンディションが合わないと更新もできなかったと思います。

ーー今回はおふたりで達成した記録ということで、ご夫婦としておふたりについても聞かせてください。まず、結婚しようと決めた時期はいつでしたか?

(鈴木選手)当時、彼女は東京オリンピック出場予定だったので、それが終わったら1つの区切りという面もあって。そこで自分が申し込んだというか……(笑)
(一山選手)私も東京オリンピックが終わったら一区切りつくと思っていたので、それ以降だったらいつでもいいかなと思っていたので……(答えは)YESでしたね(笑)

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ーー入籍されてから長くないですが、その後おふたりの間にはどのような変化がありましたか?

(鈴木選手)今までは距離が離れていたんですけど、入籍してすぐではなかったけど、今は近くで過ごせるときは一緒に過ごすという環境が整いました。近くでも切磋琢磨できていると思っています。

ーー場合によっては今回のように練習も同じ場所でできたりするんですか?

(一山選手)今回は世界陸上までだいたい同じ流れなので、今は一緒に練習しています。大会ごとに目指すものが一緒だったら、一緒にしていくことになるだろうと思います。

――入籍後にマラソンを1大会経験し、7月にオレゴンで開催される世界陸上競技選手権大会に向けて新たな挑戦が始まっています。「ふたりでいるからこそハードルとかを乗り越えられているのかもしれない」と思うことはありましたか?

(鈴木選手)同じ競技をやっていますし、彼女は日本代表も経験しています。大きなプレッシャーを抱えながらやっているので、そういった部分でもお互い理解し合えるのかなと思っています。
(一山選手)大きな大会に一緒に行きたいなと思えることで頑張れるところがあります。日々の練習で投げ出したくなったり嫌になったりするときがあっても、目指すところが一緒だと捨てきれなくなって「がんばろう」って思えることがすごくあります。

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ーーどうやってお互いを励まし合っていますか?

(鈴木選手)特別なんかというのはないですが、相手がいると、自分が練習でしっかり詰めてないというときには、僕も頑張ろうと思うことができます。今回の東京マラソンでも2人でトップになって世界陸上に行くという目標を持っていたので、私の調子が悪かったときも、彼女はしっかりブレずに目指していたので、そういう所が力になっていました。ポジティブな影響を受けているなと思っています。
(一山選手)調子が良くなかったけど、今回の東京マラソンでもしっかり走ってくれて。そういう姿を見たり、日頃の練習への取り組みも1つ1つ丁寧だなという印象があって、それがいい影響を与えてくれているなと思います。

ーーちなみにプライベートではどんな話をされているんですか?

(鈴木選手)もし結婚されていたら、普段の会話を思い浮かべてください。きっとそれと同じです。皆さんと一緒だと思います。何気ない話をしているなかで、たまに競技の話とか練習の話とかがあるといった感じです。

――最近ふたりで盛り上がった話とかありましたか?

(鈴木選手)盛り上がった話……。
(一山選手)ないよね(笑)
(鈴木選手)本当にないですね。特別何かということはなく。楽しく、という感じですね。

結婚生活を「面白いから楽しい」と語る一山選手。普段は真面目な鈴木選手も、家ではふざけることもあるのだとか

ーー今後はどのような夫婦生活を過ごしたいと思っていますか?

(鈴木選手)今は競技をやっていて、競技の部分で励まし合うということが多いですが、いつかはお互い競技者ではなくなる時が来ると思います。アスリートではなくなっても、お互いを高め合う、助け合うということを続けられたらなと思っています。
(一山選手)今は競技者で特殊な仕事をしているけれども、いつかは子育てしたりだとか、そういった生活もしたいと思います。

ーー選手生活を終えてもふたりでランニングができたらいいなと、現段階で思ったりしますか?

(鈴木選手)分からないですね(笑)
(一山選手)でも体系維持くらいでは走るんじゃない?
(鈴木選手)辞めて、太り始めたら「やばいな」ということで走るかもしれないですね。
(一山選手)彼は暇だったら走っていそうだなと思います。

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ーー最後の質問です。読者には、ギネス世界記録、またはマラソンなどのパーソナルベストに向けてトレーニングを続けている人たちがいると思います。その方々たちに向けて応援のメッセージまたはアドバイスをお願いします。

(鈴木選手)私たちもこれから、世界と勝負していくのもそうですが、自分たちの自己ベスト更新を目指してこれからもずっとやっていくと思います。自己ベストや記録更新を目標にして、うまくいけば達成感も得られたりすると思うので、楽しんでやっていけたら最高だと思います。
(一山選手)楽しみながら行えば、楽しく生きていけると思うので、楽しむことを忘れずに挑戦し続けてほしいなと思います。

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ーー一山選手、鈴木選手、ありがとうございました!これからも自分らしい走りで、世界にチャレンジしてください!