Travis Ludlow split image

飛行家のトラビス・ルドローさんが、44日間で世界一周飛行を完遂し、ギネス世界記録「ソロ飛行で世界一周をした最年少|Youngest person to circumnavigate by aircraft, solo」に認定されました。

24,900マイル(約40,072 km)の移動の末、オランダ、テウへに着陸したとき、トラビスさんの年齢は18歳150日でした。

小さな単発機を1人で操縦したトラビスさんですが、その道のりは決して楽なものではありませんでした。悪天候や孤独、疲労に耐えながら、1日最大8時間のフライトをこなしたのです。

記録挑戦のフライトは2021年5月29日にスタート。当初は2020年6月に開始する予定でしたが、パンデミックの影響で延期にしたのです。

オランダをスタート/フィニッシュ地点とし、ポーランド、ロシア、アメリカ、カナダ、グリーンランド、アイルランド、スペイン、モロッコ、フランス、ベルギーに着陸しました。

トラビスさんは今までの人生のほどんどをかけて、世界一周に向けて準備を続けてきました。

4歳から飛ぶことに興味を持ったトラビスさん。ベッドサイドに積み重ねてある航空関連の雑誌を読まずして就寝することはなかったと言います。また、飛行に関するテレビ番組は探せる限りすべてみたと言います。最終的には、ナショナルジオグラフィックで放送された『メーデー!:航空機事故の真実と真相』で紹介された航空機事故の原因をすべて説明できるようになったとか!

トラビスさんは12歳で初めてのグライダー・レッスンを受け、14歳で、イギリスで最年少のグライダー・パイロットになりました。

16歳になると自家用操縦士のライセンス試験に合格。そのときはまだ対象年齢以下だったので、実際ライセンスを手にしたのは、試験合格の数か月後だったそうです。

操縦席に座る当時13歳のトラビスさん

記録挑戦における最大の課題は天候です。雷雨や冷たい風を小さな飛行機が対峙するには、トラビスさんのスキルと勇気が試されました。

6月15日のフライトは、その良い例と言って良いでしょう。地上に当たらずに飛行するために14,000フィートを飛行していたとき、山岳波に見舞われたのです。

翌日、トラビスさんはFacebookにこう投稿しました。「昨夜、今までで一番怖い瞬間を体験した」

石のように落ちていった。高度が1分間に5,000フィートの勢いで。警告が機内のあらゆるところから発せられた。地形警告や失速警報が鳴る中、機体を持ち上げようとした。ノーズは上向きになってもまだ降下していた。たった5秒の間に2,100フィート以上も降下してしまった。

6月26日には、あらし雲を避けるために冷や汗をかいたと言います。トラビスさんは「それはドッジボールのようで、ボールの代わりにあらし雲が迫ってきていた」と振り返りました。

長く続く孤独もトラビスさんに影響を及ぼしました。しかしオンライン上でのファンはもちろん、飛行中に声で励ますホストにも助けられたそうです。

Travis flying over Siberia

比較的低い高度で飛行したため、トラビスさんは地球上の美しい風景を目の当たりにしました。

特に気に入ったのは、カナディアン・ロッキーの眺めと、シベリアの原生地域だそう。

ロシアのケメロヴォからウラン・ウデへの飛行では、世界で最も深く、世界最古の湖、バイカル湖の上を飛行しました。

メイソン・アンドリューズさん(左)とトラビス・ルドローさん(右)

アメリカではテキサスに数日宿泊し、2回目のワクチン接種を行ったそう。その際、アメリカ南部特有のおもてなしを受け、印象に残ったそうです。また、ルイジアナでは前記録保持者のメイソン・アンドリューズさん(2018年10月に18歳163日で記録達成)と会うこともできました。

「記録保持者のメイソン・アンドリューズさんに会えて良かった。メイソンさんは飛行のあるべき姿を常に示してくれているし、私の記録挑戦についてもサポートしてくれた」とFacebookにつづったトラビスさん。しかし最後に付け加えました。「長居できなくてごめん。誰かの記録を破らなきゃいけないからね」

Travis Ludlow thumbs up

トラビスさんは7月9日、アイルランドからジブラルタルまでの飛行中、記録達成のための最低距離(24,540マイル)を達成しました。その日のことをトラビスさんはFacebookにこう書きました。

今日、2つのマイルストーンを達成した。ひとつはジブラルタルに着陸すること。夢が叶った瞬間だった。もうひとつは、オランダを旅立ってから24,972マイル飛行したこと。赤道からとった地球の円周より71マイル長い距離だ。

トラビスさんは、メイソンさんの記録から163日短縮することに成功したのです。

Travis Ludlow exterior plane shot

地上に戻ってきたトラビスさんですが、彼の頭はまだ雲の上のことを考えています。すでに新たな世界一周飛行を計画しているそうで、他のギネス世界記録も更新することもあり得るでしょう。

次のトラビスさんの冒険はどんなものになるのか……次の展開にも目が離せません!

Travis Ludlow smiling thumbs up