26歳のハリー・ボウレスさんは、4月28日に開催される ロンドンマラソン 2019 を、重さ約10 kgのサイのコスチュームを身にまとって挑みます。
無事完走する事ができれば、ギネス世界記録「3Dの動物の格好をしてマラソン最速タイム（男性）｜Fastest marathon dressed as a three-dimensional animal (male) 」にも認定される見込みです。
ハリーさんがこの過酷なチャレンジに挑む理由……それは、サイの保護のためにファンドレイジングを行うためでした。
ギネスワールドレコーズは、ハリーさんとイギリスの自然保護団体「セーブ・ザ・ライノ（Save the Rhino）」を招き、ハリーさんがこの挑戦にかける想いや、団体が行っているチャリティの活動について伺いました。
世界中でサイの保護活動を行っている「セーブ・ザ・ライノ」は、警備をしている人たちに適切な装備を与えたる、サイの角の需要を減らす活動をしています。
2018年時点で、3頭のサイが毎日狩猟されています。シロサイの数は20,000頭から18,000頭に減少しており、クロサイの数は5,000頭で横ばいとなっています。これらの数字は看過する事ができません。ーーセーブ・ザ・ライノ CEO キャシー・ディーン
ハリーさんがこの団体と関わったのは、ケニヤに旅行に行き、オルペジェタ自然保護区を訪れた事がきっかけだそうです。
「2018年5月に、再びその保護区に行った時、マラソンに挑もうと考えました。オルペジェタ自然保護区のサイに一目ぼれしたんです。」
しかしこの保護区には「サイの墓」と呼ばれる場所もあったのです。
種類によっては絶滅へ向かっていて、この素晴らしい動物を失っている事に衝撃を受けました。それからは、どのようにしてサイを守れるのかを考えるようになりました。
サイの保護に貢献したいと思ったハリーさん。彼が考え付いた1つの方法は、サイのコスチュームでマラソンを走る事でした。
「イギリスに戻ってから、『セーブ・ザ・ライノ』が行っている活動について確認しました。この活動に少しでも貢献したいと思って、ファンドレイジングを行いたいと考えました。」
マラソン大会は、「セーブ・ザ・ライノ」にとってもファンドレイジングで重要な時期。実は団体のCEOキャシー・ディーンさんも、コスチューム姿でマラソンやウルトラマラソンに参加しているのです。
サイの格好で走ると大きな反響を得る事ができます。去年はロンドンマラソンだけで13万ポンド（約1,900万円相当）の資金を調達する事ができました。 ーーセーブ・ザ・ライノ、アリー・ミルズ
「セーブ・ザ・ライノ」のコスチュームは、1992年のロンドンマラソンでの登場以来、大会の一種のアイコンとなっています。長年マラソンで使われていますが、走るために作られたものではなく、ピーター・ホール演出のミュージカル「ボーン・アゲイン」で使われたコスチューム。これを着てマラソンを完走するのは至難の業なのです。
「中に入ると、感覚が完全におかしくなります。まるでポテトチップスの袋の中にいるようで、視界も悪いです。」
しかしハリーさんは、ただ完走するだけでなく、ギネス世界記録タイトルを狙っています。現在記録保持者はいませんが、認定されるには基準タイムである5時間15分以内にゴールしなければなりません。
ちなみに「3Dの動物の格好をしてマラソン最速タイム（女性）｜Fastest marathon dressed as a three-dimensional animal (female)」のギネス世界記録保持者はエリー・マックミーハンさんで、彼女も「セーブ・ザ・ライノ」のファンドレイジングを行った1人。2017年のロンドンマラソンを5時間44分20秒で完走しました。
大会当日まで2週間をきり、胸が高まっているそうです。「トレーニングをやってきた成果なども含めて、うまく行くチャンスがあると思う」と、ハリーさんは語ります。
「ロンドンマラソンでは毎年、数多くの選れたランナーたちがギネス世界記録に挑戦しています。それらは私の記録挑戦へのインスピレーションであり、モチベーションでもあるのです。」
