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1981年以来野生の環境で発見されてこなかった「最も大きなハチの種類|largest species of bee」が40年ぶりに発見されました。

すでに絶滅したのではとされてきたこのハチは今年1月、アメリカとオーストラリアの研究者によるチームが、インドネシアの北マルク州で発見しました。

シドニー大学およびセントラルクイーンズランド大学の生物学名誉教授、サイモン・ロブソンが2019年1月に発見されたハチを手に持つ © Clay Bolt: claybolt.com 

ウォレスの巨大バチ(Megachile pluto)のメスは、4.5 cmの長さまで成長します。羽は広がると最大6 cmになるのだとか!オスはメスの半分程度のサイズにとどまるそうです。

© Clay Bolt: claybolt.com 

この巨大な虫が文献に掲載されたのは1858年。イギリスの博物学者アルフレッド・ラッセル・ウォレスがインドネシアのバカン島で発見されました。その後、このハチは1981年2月にアメリカの昆虫学者アダム・メッサーがインドネシアのハルマヘラ島で発見するまで、記録される事がありませんでした。

標本として残っているウォレスの巨大ハチを探すのも稀な事です(写真は昆虫学者のエリ・ワイマンさんと)© Clay Bolt: claybolt.com

自然写真家のクレイ・ボルトさんは、今回ハチを発見したチームの一員で、この世界一のハチを生きた状態で初めて撮影をした人物。歴史に残るシャッターを切った事について、本人も驚いたそうです。

「空飛ぶブルドッグのようなこのハチを実物で見れたのは息をのみました。もうこの世にいない生き物だと思っていたのが目の前に現れ、その羽を動かして音を鳴らし、私の頭上を飛んでいったのは信じられませんでした。」

ウォレスの巨大バチを発見したのは、5日間におよぶインドネシアの熱帯雨林の探索の終盤での事。現地ガイドのイズワンさんが樹木に生息するシロアリの巣を発見します。その巣の表面には、不自然に大きな穴が開いていたのです。

(携帯電話を持っている)イズワンさんがシロアリの巣を発見し、写真家のクレイ・ボルトさんが確認をしている様子© Simon Robson 

巨大バチはこのような巣を好む傾向があるため、研究者たちはより詳しく確認してみる事に。写真家のクレイ・ボルトさんが中をのぞいてみると、その巣には確かに住人がいたのです。

ウォレスの巨大バチが巣の中で発見されるのは、今回が初めて © Simon Robson 

研究者たちは数時間かけてメスバチを巣からおびき出そうとしましたがうまくいかず、草などを使って巣から出し、チューブの中に。その後、箱の中に入れてメスバチをより詳しく観察しました。

生息が確認された事によって、保護をする活動が進むのではないかと期待されます。

メスバチを解放する前に撮影を行うクレイ・ボルトさん © Simon Robson

現在のところ、野生のハチを捕獲して売買する事を取り締まる法律がありません。それだけではなく、インドネシアの熱帯雨林自体が破壊されている問題も抱えています。ウォレスの巨大バチは国際自然保護連合(IUCN)は危急種と定めていますが、品種に関するデータがあまりにも少ないため、実際はより深刻な恐れもあります。

今回の研究探索を出資したグローバル・ワイルドライフ・コンサベーションのロビン・モアさんは、巨大バチの売買を加速させる懸念があるなか、あえて公表する事を決断したと言います。

このニュースを出す事は、乱獲を促すリスクなどにつながると考える人もいるかもしれない。しかし悪辣なコレクターたちは、まだ生息している事を実は知っているのです。このハチを世界中で知ってもらい、保護の旗振り役にする事によって、世間の目に触れない所で売買されて絶滅してしまうより明るい未来が待っていると確信しています。

ヘッダー・サムネイル写真はClay Bolt撮影: claybolt.com