10月9日イギリスのキュー王立植物園で、複数のギネス世界記録を所持している花が咲きました。
ショクダイオオコンニャクはスマトラの熱帯雨林にある巨大な花で、高さは従来3 m 以上。「最も高い花|Tallest flower」としてギネス世界記録に認定されています。
実はこの花、英語では"corpse flower"(死体の花)とも呼ばれていて、その理由は花が放つ異臭。「最も臭い花|Smelliest flower」としてギネス世界記録に認定されているほどの臭さは、なんと1 km ほど遠ざかっても嗅ぎわけることができるのだとか!ショクダイオオコンニャクはこの腐臭を使って、受粉をするハエをおびき寄せているそうです。
開花のニュースを聞いたギネスワールドレコーズのスタッフは、キュー王立植物園に突撃。その高さと悪臭を直で体験しました!
植物園にあるショクダイオオコンニャクの「育ての親」とも言えるのは、植物園の園芸家マルセロ(Marcelo Sellaro)さんと、管理人のエリーサ(Elisa Biondi)さんの2人。ここ数年間、巨大な植物の成長を見守り続けてきました。
マルセロさんによるとショクダイオオコンニャクの種がはじめてやってきたのは1997年のこと。「2005年に花粉を花から花へと移し、2つの花序を受粉させることができ、多くの果実と新しい種を作ることができました。その種の1つが今回花を咲かせました。なので13歳以上ということになります。」
「ショクダイオオコンニャクには成長期と開花期の2つのステージに分かれています。1つの塊茎は花を作ることも、大きな葉を作ることもできるようになっています。今回のケースでは、18か月間、葉の状態でしたが、エネルギーは塊茎に集中して休眠状態に入りました。そして数週間前に花が成長し始めるようになったのです。」
エリーサさんに臭いについて聞くと「今朝温室に入ってきたときに臭いに気づいて、はじめはねずみの死骸がどこかにあると思ったのですが、臭いの源に近づくにつれ、状況を把握することができました。公衆ゴミ箱の下に溜まった液体の臭いに似てると思いますが、なぜかまた嗅いでみたくなるんです……病みつきにさせそうな何かがあるんですよね!」
塊茎の上部から肉穂花序の先まで3 m 以上で、ギネス世界記録の更新にまでは至りませんでしたが、マルセロさんとエリーサさんは、世界中のショクダイオオコンニャクを代表して2つの公式認定証を受け取りました。
花を咲かせるまでに数年かかったあげく、開花の時間はたったの2日か3日と非常に短いもの。開花しているショクダイオオコンニャクを見るためには、早く行動しなければなりません。
キュー王立植物園においての開花は終盤を迎えてしまいましたが、その悪臭の雰囲気は、今年公開されたギネスワールドレコーズの動画で再現しています。ぜひチェックしてみてください。!