ハーフマラソン(女子)のギネス世界記録、ハーフマラソン(女子)の世界一
ナイジェリア出身のチュドン・モルガンさんが、「各大陸を最もはやく走ったハーフマラソン(女子)」のギネス世界記録タイトルを、なんと10日と23時間37分8秒という驚くべきタイムで更新しました。 42才のモルガンさんが走破したレースは、順に次の7つのレースです。
- カールトン・クラシック・ハーフマラソン(オーストラリア)
- アブ・ダビ・ストライダーズ・ハーフマラソン(アジア)
- トルシー・インターナショナル・ハーフマラソン(ヨーロッパ)
- カルタゴ・レース・ハーフマラソン(アフリカ)
- リンカーンズ・バースデイ・ハーフマラソン(北米)
- サザン・クロス・ハーフマラソン(南アフリカ)
- ペンギン・ハーフマラソン(南極)
またギネスワールドレコーズは、彼女が「各大陸と北極を最もはやく走ったハーフマラソン(女子)」という世界新記録を、62日と12時間58の分49秒で樹立したことを確認しました。
- 記録名:
- Fastest time to run a half marathon on each continent (female)
Fastest time to complete a half marathon on each continent and the North Pole (female) - 記録:10日と23時間37分8秒 / 62日と12時間58の分49秒
- 記録のタイプ:マラソンの記録、7大陸をまたにかけた記録、女性の記録
- 記録保持者:Tuedon Morgan(ナイジェリア)
現在カタールに住み、会計士としての職を持つ、そして4人の息子の母親でもある彼女が、この世界へととどろくほど偉大な記録挑戦をはじめたのは、実はとても素朴なことで、「不健康なライフスタイルを変えるため」だったと聞くと驚くでしょうか。ギネスワールドレコーズは、彼女の記録達成にともない、彼女の舞台裏についてインタビューしました。
ここから浮かびあがってきた彼女の驚くべき事実です。「ギネス世界記録への挑戦を始めようとしたとき、彼女が体重121kgという不健康な状態」であったことなんて、皆さん信じられますか?
Q. 走ることの才能が自分にあると知ったのはいつですか?
A. 私はよくいる、さぼりがちな学生で、体育も嫌いでした。結婚する前の私は体重63kgのスリム体型でしたが、子供を生む度に体重は増え続け、ついに2008年1月には121kgにまでなったときは、本当に悔しい気持ちでいっぱいでした。
何年にも渡り、不健康なライフスタイルと、食生活を続けた結果、身体への影響は深刻なものとなり、体重のために足には恒常的な痛みを覚えるような生活だったのです。
上の写真は2008年1月に撮影したものです。鏡の前に立った私は、人生を変える必要があることを悟りました。この写真は、私がどんな状態だったか、そしてそこからの戦いの日々と、多くを達成したことを思い起こさせてくれます。
私は今が自分を変えるべき時だと決心しました。最初の一歩はまずジムに通うことから始めました。ベルトランナーを使ったウォーキングからスタートし、その上で5km走れるようになった時点で、外に出て、今度は路上でのランニングを行いました。以来、34ヶ国で44のフルマラソンを完走し、50kmのウルトラマラソンも2度完走したことが、私の誇りです。
Q. 記録挑戦へと駆り立てた原動力は何ですか?
A. 実は私が子供の頃、両親はいつもギネスワールドレコーズの本が出る度に買い与えてくれていたのです。そしていつかは自分がその本に掲載されるんだと、自分に言い聞かせていたのをよく覚えています(笑)。
でも、大きくなって体重が増えてくると、無理な夢だったんだと思うようになりました。この考えを変えてくれたのが、ジラッド・ライム(パキスタン)です。彼は現在、マラソンに関する、複数のギネス世界記録を持っています。
Q. あなたのトレーニング方法と世界記録挑戦への準備について教えて下さい。
A. マラソンのためのトレーニングというのは、2つ目のフルタイムの仕事を持つようなもの、そう言っても過言ではありません。まず、私が住む中東は、夏には摂氏50度にまで気温が上がります。また地形は平坦です。ですので、摂氏-22度の南極大陸や、-42度の北極とは全く環境が違うわけです。
私は週5日、10km走ります。多くのクロストレーニングやコアワークをこなします。速く走ることは目的ではありませんが、トレーニングには取り入れています。正直なところ、記録挑戦の為に行ったと言えるようなことはあまりありません。
Q. 今回の記録挑戦で最も困難だったのはどこでしょうか?
A. 最も困難だったのは、十分な睡眠が取れなかったことです。一つのレースが終わると、すぐに次のレースが始まりました。披露がたまって、極端な空腹状態でした。最悪だったのは、ニューヨークから南米へ飛ぶ飛行機の中で、水が切れてしまったことです。
南米に着陸した後は、ホテルのチェックインに2時間、そしてすぐに次のレースです。足はいつもの倍に膨れ上がり、靴のサイズが合わなくなってしまっていました。また、北極マラソンは至難の技でした。地上ではなく、基本的に凍った水の上を走るのです。
Q. ギネス世界記録達成を知った時の感想を教えて下さい。
A. 電話で知らせを受けて、自分のページにログインするように言われました。手は震えて、涙が頬をつたわるのがわかりました。この記録は私にとってかけがえのない意味を持っています。私は本当にひどい健康状態で、医者は常に生活スタイルを変えるように忠告しました。
体重を落とすことを目的としていましたが、やればやるほど、その先を求めるようになりました。7大陸を2回走破し、ナイジェリア人として初めて7大陸と北極を走った上に、ギネス世界記録の栄冠を手に出来たのはこの上ないことです。私の努力が公式に認められたのですから!
Q. 更なる記録の高みを目指す計画や、他の記録挑戦を行うおつもりはありますか?
A. はい。多くの国々で、より多くのマラソンを走り、新しい人と出会って、皆さんにとっての良い刺激になれればと思っています。新たなギネス世界記録の達成にも挑戦したいですね。自転車での記録挑戦を考えています。
「自転車でのランズエンド(英・最西端)からジョンオグローツ(英・スコットランド最北端)までの最速記録(女性)」と、いつかは、「自転車での世界一周最速記録(女性)」にも挑戦したいです。そのためには、やる気と集中力が必要ですが、心の準備は出来てきています。
Q. あなたの記録挑戦を知って刺激を受けた人が多いと思います。何か皆さんにアドバイスを頂けますか?
A. 今回の挑戦で、普通の人間でも人生で達成出来ないことは無いと感じてもらえればと思います。何もやらないでいるより、挑戦や失敗をするほうが良いのです。誰にでも何か大きなことをする能力が備わっています。自分を常に磨くようにしてみてください。
彼女は各マラソンを走る度に、「ナショナル・ブラック・マラソン・アソシエーション」への募金を募りました。これは若い黒人に、陸上競技活動をするための支援や、大学への奨学金支援を行う団体です。また、彼女は女性が健康に生活するための女性による団体の共同設立者でもあります。彼女のフィットネスの旅は、こちらのフェースブックからフォロー可能です。