書籍『 ギネス世界記録 2017 』掲載!

※当エントリーは、発行時点の情報です

人で作った最大の無限大記号(Largest human image of an infinity symbol)


2015年10月17日(土)。秋晴れの空の下、交通安全の願いを込めた黄色い「無限大∞」の人文字が、大阪府西成区の中学校校庭いっぱいに広がりました。

この記録挑戦は、区内の成南中学校で開催された西成区体育レクレーション大会で、地元の西成警察署が主催したイベントでした。

この記録挑戦において、地域の住民の方々など288人が参加し、縦12.3m、横20.2mという巨大な人文字がつくられて、「交通安全の意識を西成区から大阪府内全域へ無限大に広げていこう」というメッセージと共に、見事世界最大の無限大人文字として認定されたのでした。

人文字の記録、その審査基準って?


「ギネス世界記録」として認められるためには、その公共性と挑戦者の公平性を期すため、ギネスワールドレコーズの定める公式認定員によって客観的で厳格な審査が行われる必要があることは、皆さん、ご存知の通りです。

今回の無限大人文字の審査ポイントとなるのは、

  • 250人以上の参加者がいること
  • 全員同じ色の服を着ていること
  • 隙間なく文字が作られていること
  • 上空から見て最初から最後まで、5分以上しっかりと無限大記号を表現できていること

  • というものでした。

通常、長さを競う場合に途中で分断されてしまっている場合などは、長い方の断片を記録認定するケースもありますが、今回のような人文字では分断されると文字として認定できなくなってしまいます。

また、5分間というと短いようですが、今回は10月とはいえ、汗ばむほどの陽気で、実際に大人数で静止しているのは簡単な事ではありません。

世界一へのチャレンジは、認定員が審査のため近くの建物の屋上にスタンバイし、婦人警官の合図でスタートしました。

グラウンドに敷かれたブルーシートには番号がふられ、その上でせめぎ合うように、そして色鮮やかに「∞」の文字が浮かび上がります。黄色いポンチョに身を包んだ参加者は、本チャレンジの趣旨である自転車の交通安全の話などに耳を傾けながら、記録達成に向けて5分間静止を続けました。

その後公式認定員から「288人で新たなギネス世界記録に認定致します!」との宣言を受けると、校庭は大きな拍手と歓声で沸き立ちました。


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自転車事故防止への願いを記録挑戦に込めて

今回の人文字「無限大∞」は、西成警察署で取り組む「アンフィニ(フランス語で無限大)作戦」にちなみます。

大阪府では、残念ながら先月までに自転車が絡む死亡事故が、42件発生しているとのことです。また、交通死亡事故全体でみても、近畿2府4件で500人に迫る死亡事故が発生しており、このうち大阪が最も多く、全国でも2番目となっています。

また西成区内で起こっている事故では、子どもたちも多く利用する生活道路にかかわるものがその半数を占め、中でも自動車対自転車の交差点での出会い頭事故や、高齢者の方が絡む事故がかなりの数を占めています。

黄色いリボンの西成「アンフィニ作戦」とは


そこで2014年の9月より、西成区では一部の地域を皮切りに、自転車事故の撲滅を目指して冒頭の「アンフィニ作戦」を開始しました。これは警察や区内の住民、そして子どもたちが協力して、狭い道路の交差点・細街路・生活道路など、危険と思われる場所の電柱に黄色のリボンと注意喚起のミニ幕を取り付け、交通安全の呼びかけをしているものです。

「∞」はリボンの結び目を表し、「自転車の交通ルールの遵守と交通マナーの向上を西成から全国に広げようという運動」です。このアンフィニ作戦を始めてから、実際に自転車事故も減少しているとの事で、事故撲滅に向けた地域の結束が伺えます。

今回のギネス世界記録チャレンジでは黄色のポンチョが着用されました。これはもちろん、「アンフィニ作戦」で街頭に結ぶ「黄色」のリボンを再現するものですが、それと同時に、「雨の日に傘をさして走るような危険運転はやめよう」というメッセージも込められています。

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「交通安全」の意識を高めるためのギネス世界記録

今回の無限人文字チャレンジでは、一般の方々と、警察・消防署員の方々などが一緒になって文字を造りました。

実際の「アンフィニ作戦」も、警察だけで展開しても意味がありません。

元々、この運動は開始以来、小中学生を始め、ボランティアの皆さん、商店街や町内会の皆さんなど、地域の一般住民の方々が多く携わっており、一過性のものではなく、継続的な運動として時間をかけて進められてきたものでした。

例えば、子供たちにリボンの設置を手伝ってもらうようにすることで、「どっち向きにつけるのがわかりやすいかな?」「この場所で目立つかな?」「高さはこれでいいかな?」などと考えを巡らせ、自ら「気をつけなきゃ」という自覚意識を生むための仕掛けをしたりです。

また、リボンを取り付けるだけでなく、黄色いリボンそのものを作るところから参加してもらうことで、小学生たちにもより一層この作戦に意識を向けてもらおうとするなど、きっとこの運動はますます広がりを見せていくのではないでしょうか。

今回のギネス世界記録へのチャレンジが、地域住民の方々の交流や、子どもと大人をつなぐ役目を果たし、更にはこの草の根的運動が、記録のニュースとともに全国に広がって、より高い交通安全の意識が高まる端緒となる想いにもつながっていったら、本当に素敵だと思います。

ギネス世界記録への認定、おめでとうございました!!

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